現代では生活に欠かせなくなったスマホ。そんなスマホ利用の基本は、OS上で動作する「アプリ」です。
メールをするなり、ウェブを見るなり、電話をかけるなり、これらは全てスマホアプリを利用しています。もちろんアプリは、最初からあるもの以外に自由にインストールすることが可能。
……と、ここで本題です。
家事代行サービスの業者の、スマホアプリ導入具合はどうなのでしょうか。執筆時点での導入具合が気になったので、アプリの使い勝手なども含め調べてみました。
非常にマニアックな内容ですが、誰かにささるかもしれないと思い、調査結果をご紹介したいと思います。
予想:スマホアプリを用意してる会社とは
まずは調べる前に、現状を予想してみたいと思います。
家事代行サービス×スマホアプリの活用はされているのか!?どんな会社が導入しているのか!?ビジネス的な観点から、コンサルタント/ITエンジニアである私が考えてみました。
業務にマストな会社
まずあるだろうなと思ったのが、業務的にマストであろう会社です。具体的には、マッチングタイプの家事代行サービスですね。
マッチングタイプの家事代行サービスは、思い立ったときに手軽に依頼したいもの。わざわざサイト名を検索してもらったり、お気に入りにいれてもらうよりも、専用のスマホアプリを用意した方が使いやすいです。
利用者さんはスマホからワンタップで起動し、サクッと入力できる。つまりは依頼しやすいことに繋がるため、スマホアプリを開発する意味は大きいでしょう。
家事代行スタッフとして働く側としても、スマホで登録したり、業務に使えるのはメリットになりそうです。
業務規模が大きい会社
実はスマホアプリは非常にお高いです。開発するのに小さなアプリでも最低数百万。ある程度の規模となれば、数千万することすらもめずらしくありません。
というのも、基本はiOS(iPhone/iPad)とAndroidは別物であり、基本は開発言語も違うため2つ作らなければならないから。しかもそれぞれ制作の専門性も高く、人件費が高額になるからです。
昨今ではクロスプラットフォーム対応の、一度に両方を開発できる言語(React Native, Flutter)も台頭してきてはいます。なので以前よりは単価も下がってきてはいるかもしれません。
とは言え、やはり小さな会社にとってスマホアプリは「贅沢品・高級品」なことは変わりません。したがって、資金に余裕のある業務規模が大きい会社でないと難しいと予想します。
私もコンサル業務でスマホアプリを提案することがありますが、小さな会社だと予算が他(Webサイト等)で手一杯なことも多いです。
スマホアプリを用意してる会社
ここからが調査結果です。スマホアプリの登録状況を調べてみました。
調査対象はもちろん、iOSはApp Store、AndroidはGoogle Playストア。検索キーワードは「家事代行」で出てきたアプリです。
加えて、実際にアプリをインストールし、使用感や新たな発見がないかチェックしてみました。
それでは見てみましょう。
ベアーズ(iOS/Android)
やっぱりありますよねー、とうなずいてしまうのがベアーズさんのスマホアプリです。iOS/Android共にあります。
試しに入れてみたところ、ログイン(登録)が必要な部分も多く全容はわかりません。……が、少なくとも言えるのは、未登録者向けのコンテンツに関しては「使いづらい」そのものです。
特にAndroidではメニュー内のリンクが動作しないようなところもありました。大手企業のスマホアプリとしてはちょっと微妙な感じはします。
まあ想定顧客ではない(おそらく契約者メイン)と思われるので当然かもしれません。
ただし、システム自体は最もきちんと作られている感がありました。唯一SMS認証なども搭載していて、起動も最も早く、お金が掛かっていると思われます。
マイベアーズ(Androidのみ)
なぜかAndroidのみ、「マイベアーズ」というアプリがありました。起動してみると「いつもお疲れ様です」との記載がある通り、ベアーズで働くスタッフさん向けのアプリです。
最初からログインが必要な完全会員サイトですので内容は不明ですが、公式情報によると、以下のような機能が利用できるようです。
- シフトの入力
- 仕事の開始・終了の報告
- 仕事の予定・お客様カルテ(情報)の表示
- カレンダーによるスケジュール
- 仕事紹介
さすが家事代行サービス最大手のベアーズ。システム開発にもお金をかけていますね。スマホでお仕事も管理できれば助かることでしょう。
でも、なんでiOS版が見当たらなかったんでしょう??
タスカジ(iOS/Android)
こちらも想定通り。マッチングサービス大手のタスカジもiOS/Androidにてアプリを公開しています。
率直な意見を言えば、全体的に使いづらい印象です。
内容は、スマホアプリでウェブサイトをラップしただけでしょうか。ウェブと同じものを表示しているように思います。
それはそれで全然ありなのですが、総じてレスポンスが遅め。
- 起動時間の遅さ
- メニュータップ後のロードの遅さ
これらが他のアプリに比べても明らかに長めです。
レスポンスに期待するからスマホアプリを利用しているわけで、そうでなければウェブ版でもいいやと思ってしまいますね。
加えて、
- ロード中はいちいちグレー画面を見せられる
- ロード完了までにレイアウトが不安定(グレー画面の裏側で)
というのがはっきり言ってストレスです。スマホからウェブ版を利用した方がまだ使いやすいと感じました。
散々書いてしまいましたが、もし関係者の方がご覧になっていたら改善の参考になれば幸いです。
タスカジトーク(iOS/Android)
こちらはタスカジさん同士のコミュニケーションアプリです。
こちらもアプリアイコンが「T」と打ちっぱなしなところからも分かるとおり、手抜きっぷりがあります(汗)。
中身もタスカジアプリと同様、ウェブ版のタスカジトークをラップしたものです。
前の画面に戻りたいときに戻れない時があったり、こちらもあまり使い勝手は良いとはいえない気がします。
低コストで作られているならしかたないかもしれません
CaSy(iOS/Android)
こちらも想定の範囲。Casyもスマホアプリを公開しています。
こちらもカジタク同様、内容はウェブ版を読み込んでいるだけだと思いますが、操作感は大分違います。無駄なロードアニメーション等もないため、待ち時間も気になりません。
もともとのサーバの反応速度もかなり速いことも大きいと思います。これならアプリとしても便利に使えそうです。
CaCyキャスト(iOS/Android)
こちらもスタッフさん専用アプリがありました。……が、完全会員制アプリだったため内容は不明です。ですので内容に関しては何も言えることはありません。
強いて挙げるなら、アプリアイコンがCaCyのアプリアイコンと統一感があればなお良いかなと思いました(iOS/Android共のアイコンすら揃っていない)。
細かい事でも、ブランドというのは小さなことの積み重ねだと考えます。
お仕事をするスタッフさんに対するブランドも重要です。
カジメイド(iOS/Android)
基本ネット上でサービスを公開しているサイトしか見ないため、こちらの会社さんは知りませんでした。2021年7月に事業開始された、比較的新しい会社さんのようです。
興味深いのは、ウェブサイト上では受付業務を行っていないようです。
なのでスマホアプリを入れて新規登録&スタッフさんを検索してみたのですが……。
出会い系アプリ!?
家事代行関連のアプリのハズなのですが、登録者はほぼ20代前半のかわいらしい女性です。
また、プロフィール写真を見る限り、どうにも女子アピールしたポージングや表情の女子がたくさん。
おそらくは、好みの女の子を選んで家事をしてもらうようなアプリなのでしょう。アプリのレスポンスも早いですし、ユニークで面白いかもしれませんね。
KASEBABY 依頼したい方(iOS/Android)
こちらは家事代行と、ベビーシッターサービスの両方が依頼できるウェブサイトのアプリ版です。ログインせずとも、スタッフさんのお仕事状況などを見られるのは良いですね。
プロではなく、サポーターという立場なためか、値段が千円台から頼める方もあり、リーズナブルです。
対してちょっと気になるのは、以下の2点。
- テータスバーにかぶってしまうような作りになっていること
- SASEBABYというアプリ名と、アプリ内の名称(ロゴ)が違うところ
個人的には特に2が気になります。
アプリ内では「家政婦さんベビーシッタードットコム」とい名称なので、色々なアプリを調査しているとなんだかよくわからなくなりました。
お節介かと思いますが統一された方が良いかと思います。
KASEBABY 働きたい方(iOS/Android)
消費者向けと働きたい方向けで、アイコン&名称が全く同じな、スタッフさん
KAJIMOM(iOS/Android)
和歌山県の接骨院が運営する家事代行サービス「カジマム」のアプリ版です。
正直、起動した瞬間にロゴが縦に伸びていて「うーん」。使ってみて、ウェブサイトをラップした雰囲気のログイン機能しかなく、「うーん」という感じです。
ログインしないと使えないタイプなので使ってみたら違うのかもしれませんが、もう少し「ワクワク感」が欲しいところです。
調べて分かったこと
用途は契約者用とスタッフさん用
当初想定していたとおり、
- 契約者や契約中の方
- スタッフさん
の2つの目的のためにスマホアプリを活用している会社が見受けられました。
前者は当たり前なわけですが、個人的には後者の方が興味深かったです。
というのもスタッフさんの管理業務は多岐にわたるはず。例えば以下のようなものです。
- 作業日の確認
- 作業場所情報の確認
- 作業日の事前通知
- 作業開始時の連絡
- 作業開始後の連絡
- 業務日報
手作業での紙や専用のウェブサイトで管理していた内容が、アプリで一元管理できればスタッフさんにとってもありがたい限りです。
特に「通知機能」はスマホアプリならではで、「明日の○時にお仕事です」などと通知があれば、リマインダとしても機能すると思います。
派遣会社のシステムでもありますね。
簡単なスマホアプリも多い
ウェブ版をそのままアプリでくるんだような、簡単なスマホアプリも多かったです。これに関してはコストも最低数百万~変わってきますので「あるある」です。
しかしながら、それでも使い勝手に差は出てきます。タスカジとCasyを比べると明白で、Casyのさくさく感は際立っていました。
簡単なスマホサイトでも、作るからにはある程度のユーザ体験がないと意味をなさないと感じました。
まとめ
本文内でも触れたとおり、スマホアプリはスタッフさん用としても有用です。
今後の家事代行業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)にも活用できる分野ではないでしょうか。
より面白い使い方をしている家事代行業者を見逃さないため、今後も定期的にチェックしていきたいと思います。
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